グンたんは猿だった。
だから猿知恵しか浮かばなかった。
ある日、グンたんは高い木にバナナを発見した。丁度、すぐ横に棒が落ちていた。
グンたんは棒を使ってバナナを落としてそれを食べた。いくつかは、落下時に傷が付いて食べられなかったのが残念だった。
しかし、木登り上手な猿である以上、グンたんは少し高くても簡単に木に登れた。グンたんは、自分が木に登ってバナナを取る方法を考えていなかった。そうすれば、傷を付けずに全てのバナナを回収できるはずだった。
やはり、グンたんの知恵は猿知恵だった。
しかし、グンたんの猿知恵は仲間に伝播した。
猿知恵軍団は効率よく食料を調達しようとして、あっさり罠に掛かって全滅した。
(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)